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知能材料を用いたロボット

近年,高分子アクチュエータ[解説(ロボット学会誌2019)][解説(計測と制御2020)]を用いた柔軟なロボットへの期待が高まってきています.我々の研究室では,水中で駆動できるIPMC(Ionic Polymer-Metal Composite)アクチュエータのロボット応用,高速で応答する誘電エラストマーアクチュエータの応用,安価で簡易な釣糸人工筋のロボット応用を行っています.

釣糸人工筋

ねじってコイル状にしたナイロン糸に熱を加えると大きく収縮(10%-20%)することが近年発見され[Haines et al., Science, (2014)],人工筋肉としての利用が見込まれています.釣り糸などのナイロン糸は極めて安価で容易に入手でき,今後のアクチュエータ応用が期待されます.ロボットや支援装具への応用を目指し,我々の研究室ではその高性能化とモデリング,制御法などについて研究しています.なお,この研究テーマはNEDO次世代ロボット中核技術開発プロジェクト(H27-H28)に高木教授(当時名古屋大准教授)が田原健二先生(九州大学)と共同で採択されました.[NEDO]

  • T. Arakawa, K. Takagi, K. Tahara, K. Asaka, Position control of fishing line artificial muscles (coiled polymer actuators) from nylon thread, Proc. SPIE, 9798, 97982W, 2016

イオン導電性高分子

IPMCは数Vの低電圧で駆動可能で,柔軟で大きく変形するという特長をもち,小型水中ロボットの"人工筋肉"やマイクロアクチュエータへの応用が期待されています.これまでに,有限回転モータ,ヘビ型ロボットの水中推進における力学の解析,エイ型ロボットの開発,四足歩行ロボットの開発などを行ってきました(図).

  • K.Takagi, M.Yamamura, Z.W.Luo, M.Onishi, S.Hirano, K.Asaka, Y.Hayakawa, Development of a Rajiform Swimming Robot using Ionic Polymer Artificial Muscles, Proc. 2006 IEEE/RSJ IROS, 1861-1866, 2006
  • 高木 賢太郎,中坊 嘉宏,羅 志偉,向井 利春,IPMCを用いたヘビ型水中ロボットにおける屈曲振幅増大現象のモデル化と解析,システム制御情報学会論文集,19(8),319-326,2006
  • K. Takagi, N. Tomita, K. Asaka, A Simple Method for Obtaining Large Deformation of IPMC Actuators Utilizing Copper Tape, Advanced Robotics, 28(7), 513-521, 2014

誘電エラストマー

誘電エラストマー,Dielectric elastomer(DE)は柔軟電極で挟まれた薄いゴム膜でできたアクチュエータです.他の高分子アクチュエータと比較すると,乾燥状態で動作し,比較的高速に応答するため,光学デバイスやハプティックデバイスなどへの応用が期待されています.我々の研究室では,応用の際に問題となる誘電エラストマーの粘弾性特性を評価,モデル化する方法について研究しています.

  • K. Takagi, Y. Kitazaki, K. Kondo, A simple dynamic characterization method for thin stacked dielectric elastomer actuators by suspending a weight in air and electrical excitation, Actuators, 10(3), 40(14pages), 2021

知能材料の数理

高分子アクチュエータの応用では,シミュレーションや設計,モデルベース開発のために,物理モデルが重要となります.我々の研究室では,物理原理の解明に向けた特性評価や物理モデル構築とともに,動的システムに対する解析と設計の強力な手法であるシステム制御工学を駆使して,数理モデルの近似や物理パラメータの推定などについて研究を行っています.とくに,高分子アクチュエータの物理モデルは非線形偏微分方程式で表されるため,工学的に扱いやすい伝達関数や状態方程式などの形式に近似を行う方法を研究しており,物理ベースの制御指向モデルとして研究しています[解説(JSICE2015)] .

釣糸人工筋

釣糸人工筋とは,ねじってコイル状にしたナイロン糸に熱を加えると可逆的に大きく収縮(10%-20%)する現象[Haines et al., Science(2014)]を利用したアクチュエータです.釣糸などの合成繊維は極めて安価で容易に入手でき,今後のアクチュエータ応用が期待されます.材料科学者とも連携し,材料高性能化や,動作原理の解明とモデリング,制御法などについて研究しています.

イオン導電性高分子

Ionic Polymer-Metal Composite(IPMC)やBucky gelなどのイオン導電性高分子アクチュエータの物理を完全に記述できるようなモデルはまだ研究途上であり,電気化学,流体力学,弾性力学,高分子物理などを用いたモデル化が必要であると考えられます.我々の研究室では,共同研究者とも協力して特性評価と物理モデルの構築を行うとともに,制御指向モデルへの近似とシミュレーションについて研究をしています(図).

  • Z. Zhu, K. Asaka, L. Chang, K. Takagi, H. Chen, Multiphysics of ionic polymer-metal composite actuator, Journal of Applied Physics, 2013
  • K. Kondo, K. Takagi, Z. Zhu, K. Asaka, Symbolic finite element discretization and model order reduction of a multiphysics model for IPMC sensors, Smart Materials and Structures, 29(11), 115037 (17 pages), 2020

誘電エラストマー

誘電エラストマー,Dielectric elastomer(DE)は柔軟電極で挟まれた薄いゴム膜でできたアクチュエータですが,可変な静電容量変化を利用した誘電エラストマー発電器(DEG)としても用いることができます.DEGでは実用上,自動昇圧を行う回路(self-priming circuit)[McKay et al., Smart Mat. Struct.2010]が欠かせないのですが,その数理モデルを構築し,無負荷での最適回路条件を求めることに成功しました.

  • P. Illenberger, K. Takagi, H. Kojima, U. Madawara, I. Anderson, A mathematical model for self priming circuits: getting the most from a dielectric elastomer generator, IEEE Trans. Power Electronics, 32(9), 6904-6912, 2016

振動制御

外部電気回路を接続した圧電素子や電磁モータを用いて,センサレスの振動制御を行う手法(シャント制振,shunt damping)があります.これは,圧電素子や電磁モータにより,振動のエネルギーを電気的エネルギーに変換して消散もしくは蓄積することにより,振動が小さくなるというものです(図(a)).機械構造物や自動車部品,モーター,サスペンション,原子間力顕微鏡などへの応用が期待されています.

また,変位の積分をポジティブフィードバックして制振効果を得る新しい振動制御の方法についても研究を行っています.

圧電材料を用いた振動制御

我々の研究室では,とくに,圧電シャント制振を入出力の取り方が特殊な制御系として捉え,物理原理に基づく数理モデルのパラメータ推定や,制御系の解析と設計,ならびに電子回路実装(図(b))などについて研究しています.

  • 高木賢太郎,山田靖高,井上剛志,内部抵抗を考慮した圧電素子のインピーダンス計測のみに基づくセンサレスパラメータ推定,日本機械学会論文集C編,78(792),2808-2823,2012
  • T. Ikegame, K. Takagi, T. Inoue, Exact Solutions to H infinity and H2 Optimizations of Passive Resonant Shunt Circuit for Electromagnetic or Piezoelectric Shunt Damper, ASME Journal of Vibration and Acoustics, 141(3), 031015(15pages), 2019

電磁モータを用いた振動制御

ボイスコイルモータなどの電磁トランスデューサは,アクチュエータ(電流によって力を発生)としても発電機(運動によって逆起電力を発生)としても利用でき,この特長を活かしてセンサレス振動制御手法の開発を行っています.この手法は電磁シャント制振と呼ばれ,圧電シャント制振と同様,単一の電磁アクチュエータに外部電気回路(シャント回路)を取り付けるだけで制振が可能な方法です.これまでに,ボイスコイルモータにディジタル制御が可能な仮想インピーダンス回路を取り付けて制御を行い,負の抵抗値をもつシャント回路によって大きな制振効果を得られることを実証しました.

  • T. Ikegame, K. Takagi, T. Inoue, I. Jikuya, Sensorless parameter estimation of electromagnetic transducer considering eddy currents, Mechatronics, 45, 130-142, 2017
  • T. Ikegame, K. Takagi, T. Inoue, Exact Solutions to H infinity and H2 Optimizations of Passive Resonant Shunt Circuit for Electromagnetic or Piezoelectric Shunt Damper, ASME Journal of Vibration and Acoustics, 141(3), 031015(15pages), 2019

変位の積分に基づく振動制御

TBA

知能材料を用いたロボット

  • 釣糸人工筋
  • イオン導電性高分子
  • 誘電エラストマー

知能材料の数理

  • 釣糸人工筋
  • イオン導電性高分子
  • 誘電エラストマー

振動制御

  • 圧電材料を用いた振動制御
  • 電磁モータを用いた振動制御
  • 変位の積分に基づく振動制御

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